助教の池田です。
イギリスのNottinghamで開かれたJVRC2011(The Joint Virtual Reality Conference)という国際会議に参加しました。
Virtual RealityやMixed Reality関係(○○現実感)が主なテーマの会議は、日本バーチャルリアリティ学会の国内大会とこの分野では最高峰の国際会議ISMARくらいしか参加したことしかありませんでした。今回、初めてJVRCに参加して驚いたことが幾つかありましたので、(語尾のばらつきを気にせず)ご紹介したいと思います。
参加者
まず驚いたことは、参加者が少なかったことです。国際会議というくらいだからそれくらいの人数が集まっているものだと思い込んで、メインの会議上のドアを開けたとたん、思わず「少なっ!」と叫びそうになりました。JVRCは2年前にeuroVRという会議とEVGEという会議が合体したもので、元はそれぞれ歴史のある会議です。正確な数字は分からないですが、数えてみると100人弱。会議場はすごく立派でおそらく500人以上収容できるのではないかと思うほど。そこに100人しか居ないとちょっと寂しい。いつも同じようなメンバーが参加するのなら顔見知りになりやすいかもしれません。あと、なぜかフランス語訛りが多いのと、女性が多い(全体の5分の1)、日本人が少ない(私あわせて3名)、のも気になりました。
ちょっと適当…
今回はポスター発表での参加だったのですが、1枚のスライドを使ってポスターの内容を口頭で紹介するFast Forward Sessionという短いプレゼンの場もありました。このような短いプレゼンは国際会議ではよくあることで、今回もポスター発表している全員が2分間のプレゼンを次々に交代して進めていくという方式でした。交代を手際よく進めるために、予めスライドを発表者から集めておき、司会がスライドめくります。さらに2分を超えると強制的に交代させられるというルールもありました。
私も当然ながら、予めスライドをスタッフに渡しました。スライドをまとめる人が間違えないように、自分の番号と名前もファイル名に加えて。
にも関わらず、自分の発表の順番が来て初めて司会者に「スライドが無いけど?」と聞かれ、おまけに私の発表が始まる直前に火災報知機が鳴るというハプニングも。
結局スライドなしで発表しますと言って、身振り手振りで発表。学生時代の自分なら、こういう時かなりテンパッて思うように発表できなかっただろうけれど、この時は落ち着いて、というよりむしろこのハンディを挽回すべく何時もより熱弁気味で、聴衆の頷きを誘うことができました。少しは成長したかなと思う瞬間でした。(発表後、司会者に掛けあって、全員の発表が終わってから、自分のスライドを見せる時間を作ってもらいました。)
プロシーディングス(発表原稿をまとめたもの)にも、問題発見。原稿は2ページまでというルールがあったので、貼りつけたい画像も少なくして、文章も出来るだけ削ぎ落して何とか2ページに収まるようにしたのに、出来上がったものを見て愕然としました。フォーマットが崩れて3ページになってる。しかもそこにページ番号が振られている。著者名と所属の関係も間違って編集されてる。自分が悪いのかと思って他の人のページを見ると同じように3ページになってしまっているページが複数あったので、ちょっと編集が適当なんだなと。
バンケットは楽しく!!
バンケット(夕食会)は、Nottinghamの市街にあるクリケット場のVIPルームのようなところで行われました。クリケットの試合があれば最高なんだろうけど、さすがにそこまではできなかったようで、グラウンドは空っぽでうっすらライトが照らされているだけでした。(代わりに、隣にあるサッカー場はこの日試合があったようで、サッカー場に向かう人でクリケット場の周りは人であふれかえっていました。)それでも、クリケットも見たこと無いのにVIPルームのようなところに入れるのは、なかなかできない経験です。
食事はかなり良かったです。食前のミントのお酒や前菜の椎茸はかなり高級な味がしました。フォークとナイフが3セットもあるバンケットの食事は初めてかもしれません。
通常、こういうバンケットではBest Paper賞を発表したり、招待講演があったり、とにかく会議の内容+αでお楽しみがあるものですが、驚いたのはこのバンケットにはαしかなかったこと。とにかく、同じテーブルに座った人と会話を楽しみましょうということで、20問近くあるクイズが配られたので、隣の人と相談しながら解きました。結婚式の披露宴のような・・・
極めつけは、スタッフの1人の女性が今日誕生日だということで、誕生日ケーキが登場しました。Happy birthday to you♪ えっ、そんなプライベートなお祝いもこの場でするの?というのが正直な感想。
と、まあ、アットホームな感じのバンケットでした。今回みたいに純粋に食事と会話を楽しむことに主軸をおいた会っていうのも、良いものだなと思いました。
会議を終えて
あえて突っ込みどころばかりを書き連ねましたが、本当のところは本会議の参加は全体としてかなり有意義でした。ポスター発表の時間は長く、多くの参加者に見てもらうことができたと思います。閉会前の二人目の招待講演も素晴らしく興味深い内容でした。内容は、バーチャルリアリティ技術が、身体感覚が鏡の中へ転移可能か、自分の体を実際よりも太く感じさせることは可能か?という面白い問題でした。
あと、Nottinghamの町はどうだったのか?あまり時間がなくて殆ど観光していませんが、1つだけ言えることは歴史のある町なので街中を歩くだけでも見応えあったということです。機会あれば、是非もう一度訪れたいです。