月別アーカイブ: 2012年6月

加藤教授のオウル訪問記

頭脳循環を活性化する若手研究者海外派遣プログラム」の一環として,現在本研究室から2名の助教(浦西先生および山本)がフィンランドのオウル大学に滞在中です.本投稿記事は山本が記しています.

先日6月2日から4日にかけて,加藤先生のオウルご来訪の機会ありました.そのときのできごとを綴っておきます.写真の多くは加藤先生から提供いただきました.

[6月2日: 加藤先生オウル到着]
加藤先生到着後の一声は「冬やな!」でした.無理もありません,ここオウルは6月にも関わらず,10度前後をいったりきたりの温度変化で未だにジャケットは必要です.今年のオウルの気温は例年に比べて低いようです.さらに天候もすぐれず小雨模様の天気でした.そのような環境に,加藤先生はオウルとは真逆のようなリオデジャネイロからお出でになられたのですから.

到着直後の滑走路から見るオウルの空港

重要!青いバンドが目印,手前から奥に向かって三つ目

ホテルに到着後,2日の晩はフィンランド料理を食しに Sokeri-Jussin というレストランに向かいました.加藤先生と浦西先生はサーモンスープ,山本はトナカイのタンの蒸し焼きのようなものをいただきました.同時に,浦西先生のテイスティングチェックされた白ワインもいただきましたよ.

トナカイのタン

サーモンスープ

レストランにて

加藤先生,ごちそうさまでした.夜21時頃に店を出ましたが,曇りがちでありながら外は明るく,これも北の国ならではの体験でしょう.

[6月3日: 観光およびPulli教授との晩餐会]
3日は,午後から加藤先生・浦西先生とオウル観光,その後オウル大のPulli先生・研究員Zeeshanと合流し,ディナーをご一緒させていただくという予定.

まずは観光からです.オウルのデパート Stockmann にてお買い物です.この日は1ユーロ97円前後,すべてのものがお求めやすいお値段になっているような気がしました.ただ,インテリア(洗練されたデザインの椅子やソファ,照明器具など)は一桁間違えているのではないかと思えるほど高価なものでした.高価だろうがセンスのいいインテリアは売れるんでしょうね,さすがおしゃれな国フィンランド.

買い物後は街を歩きました.歩いたと言っても,前日から断続的に小雨模様でしたので,オウルのシンボル Toripolliisi を見にいき,海を見ておしまいでした. その後,加藤先生ご宿泊のホテルにて夕食の待ち合わせ時間まで待機することに.今回残念な天気になってしまったのですが,晴れていると澄み切った空と碧々した草木が拡がる美しい景色を見ることができます.その景色は追々載せることにします.

Toripolliisiとツーショット

マーケット

市庁舎

大聖堂

晩餐会は,Pulli先生予約してくださった Toscana というイタリアンレストラン.おしゃべり好きそうな明るいイタリア人が迎えてくれました.写真を見ての通り,前菜からボリュームがあり,食べきれそうにないほどでした(ここは日本人だからか,三人とも残すことなく食べきったと思います).店内は貸し切り状態だったのですが,きっとフィンランド人は夕飯の時間が早いので,みんな帰ってしまったんだと思うことにしました.このお店も9時にはコックが帰ってしまいましたしね.

Toscana

前菜

メイン料理

会食の様子

しめのカフェオレ

Pulli先生,ごちそうさまでした.

[6月4日: 最終日,加藤先生オウル大研究室訪問]
この日,加藤先生はオウル大学にて我々の活動状況を視察し,夕方の便でフィンランドを発たれる予定.

オウル大Pulli先生のプロジェクトVESCでは,生活の質(QoL: Quality of Life)向上に着目し,特に弱認知症である高齢者を対象とした支援環境の実現を目指し,日々研究を行っています.フィンランドも日本と同様で,超高齢化社会を迎えつつあり,一人の高齢者を支援するための経済的負担・介護者の負担等の観点から,高齢化は重要な問題として扱われています.特色としては,ただ支援するのではなく,高齢者のQoLを考慮し,高齢者自らが自立した生活を営めることを目標としている点でしょう.NAISTからの遣芬使(造語です)は技術面を担当することが多いですが,バックグラウンドにあるフィロソフィを学ばせてもらうのが重要だと思っています.

下記の内容で,約5時間ほど加藤先生には活発な議論をしていただきました.たくさんの貴重な意見ありがとうございました.

1. Zeeshan: Presentation, “Smart kitchen overview”
2. 浦西先生: Demonstration, “Smart kitchen technology”
3. 山本: Short introduction, “Laser-based smart navi technology for outside use”
(break)
4. Future cooperation & activities planning

Pulli先生に空港まで送っていただき,最後に記念写真を撮りました.青いバンドが目印のスーツケースもしっかり写っています.

オウルの空港にて記念写真

加藤先生はフランクフルトで一泊後,帰国する予定でした.見送るために空港建物に入り,チェックインが終わるのを待ちました.すんなりとはいかないもので,加藤先生の荷物が成田に届くようになっていたらしく,それをフランクフルトに切り替えるのに時間がかかったようです.チェックインは無事に終わったようだったので,加藤先生を見送りました.

 

 

しかし,ここで終わりではありません.ここからです.

 

加藤先生にある事件が起きました.

ヘルシンキにてフランクフルト行きの便に乗り換えるときのことです.当該便は遅れ等などの影響から搭乗を待つ必要があったらしく,その間加藤先生は飛行機の写真を撮られていたそうです.その際に最大望遠で撮影された一枚がこちら.

仕事していますね

ただ,どこかでみたことのあるものが写っていませんか?そうです,青いバンドのスーツケース,加藤先生の荷物です.このとき加藤先生は,『積み込みを後回しにしている.優先タグが着いているので,おそらく最後に積み込んで,搬出は最初にするように考えているんだな.』と思われていたそうです.

 

 

しかし,

加藤先生の心の声『あれ,積み込まない.どこかに電話してなにやら確認している』

『あれ,積み込まない.どこかに電話してなにやら確認している』

 

『おいおい,どこにもって行くんだ!!』

『おいおい,どこにもって行くんだ!!』

 

『おーい,戻ってこいよ.』

『おーい,戻ってこいよ.』

 

 

というわけで,トラブル発生です.原因はオウルの空港でのチェックイン時にあったようです.オウル空港カウンタスタッフの手違いで,ヘルシンキ=>フランクフルト便のチェックインがキャンセルされていたらしく,荷物を積み込まなかったとのことです.ゲートに行き,証拠写真を見せながら事情を説明することでなんとかこのトラブルから脱されたようです.

肉眼では見えないものを望遠で写せるだけでなく,それを即座に見せることができるデジカメ.あっぱれですね.

 

こちらは無事にフランクフルトのホテルに到着された証拠です.ちゃんとスーツケースがありますよ.

無事手元に

SCI’12 参加報告(寺脇)

M2の寺脇です.
5月21-23日に京都の京都テルサで開催された第56回システム制御情報学会研究発表講演会(SCI’12)の参加報告をさせていただきます.
サイトURL http://www.iscie.or.jp/sci12/

SCIは年に一度開催される大規模な研究発表講演会で,学会活動領域における産・官・学にわたる広い分野の研究者・技術者が,会員・非会員を問わず研究発表と情報交換ができる場として開催されています.

ちなみに私の発表は三日ある日程の最終日・最終セッションでした

しかもなんというか・・・セッションが「情報処理およびハードウェアへの応用」となっており,ARとか画像処理とかじゃなく,分野範囲が広かったんですよね
(某先生曰く,どこのセッションにも入れられない発表をまとめた闇鍋みたいなセッションだったらしいです)
色々な発表を聞けたのはプラスでしたが,自分の研究の基礎的な理論とか背景などを理解してもらえるかどうか不安でした.

さて,その発表日までの21日・22日は他のセッションの発表を聴講していました.
画像処理や知能システムが主です.

中でも「赤外線画像を用いた害獣捕獲装置の開発」のことを個人的に印象深く覚えています
研究用の基本的なシステム概要としては,カメラで罠周辺を監視し,映像内の害獣を認識した場合,柵の罠を自動で起動させるという構成だそうです

さてこの研究,人間の認識はキネクトや顔認識などとよく耳にする中,獣の認識とはどうするのだろうと,聞いていました.
が,どうやら現在のところは簡単にオプティカルフローで動物体の認識をしているのみで,詳しい物体の判別は今後の課題なのだそうです.
ぜひ実現させてほしいものです

というのも,その研究がメインターゲットとしている害獣というのが…鹿とイノシシの事なのだそうです.
県内に住む私の祖父がイノシシ被害に困っていたので,害獣対策設備の需要は奈良県にもありそうなのですが,もし奈良県に採用される場合には,さらに鹿と猪の明確な認識が必要なのは明白です.
奈良の鹿は天然記念物ですからね・・・これを避けて他の害獣を自動で捕獲するのは非常に難しそうです

そして最終日.
見知った先生が司会をされる中,不思議な心持で発表しました.
発表タイトルは「拡張現実感における内容物透過表示のための視覚効果」です

発表は…残念ながらあまり良くありませんでした.
練習不足がそのまま影響しました.完全に緊張していました.

もし次の機会があれば、早めに発表スライドを完成させ、自信を持って発表に臨めればと思います.

以上、長くなりましたが学会報告でした。

SCI’12 参加報告(岡田)

M2の岡田です。人生初の学会発表に言って参りましたので報告します。

学会名:SCI’12 第56回システム制御情報学会研究発表講演会
開催日時:2012年5月21日~23日
会場:京都テルサ
URL:http://www.iscie.or.jp/sci12/

募集されていた研究のキーワードは以下の通り。
・システム理論,システム技法,応用システム解析
・制御理論,制御技法,制御応用
・計測,センシング,信号処理
・コンピュータ,情報処理,情報ネットワーク
・知能システム,知能化技法

私の発表は”最終”日の”最終”セッションである「情報処理およびハードウェアへの応用」でする事が決定していました。最終の最終…

先生曰く、私の研究分野である拡張現実(AR)を専門とする外部の先生はおそらくいないとの事なので、私のミッションは「ARとは何かを十分に分かって頂き、その上で自身の研究も説明する」に決定
…胃が痛い

 

発表日ではない21日・22日は他の学生の発表を拝聴。その中で印象に残った研究は「小田ら,”Active Appearance Modelを用いた表情変換による顔認識”」

ActiveAppearanceModels(AAM)とは通常時の表情からの変化をモデル化したものとのこと。詳しくはこのサイトでhttp://derivecv.tumblr.com/post/5291950667
AAMは表情のトラッキングや顔認識で主に使われている技術らしいのですが、「一枚のテクスチャで色んな表情作れるのなら、ゲームのモブキャラの顔がほとんど同じという違和感を解消できるな~計算コストが低いのなら」と真っ先に考えた私は間違いなくゲーム脳。

 

そして、学会三日目。日頃よく見る方が座長を務める謎空間で発表を行いました。
発表テーマは「ステレオカメラによるカメラズーム機能使用時のARの幾何学的整合性問題の解決」(タイトル長い!)

簡単に概要を説明しますと、ズームを用いるとカメラのパラメータ(焦点距離など)が変化するので、事前に取得していたパラメータが使えない。その結果、現実空間と仮想物体の位置合わせが上手くいかないという問題が発生します。そこで、もう一台カメラを用意し、ズーム後のカメラパラメータをリアルタイムで求めることで、ズームに対応しましょうという感じです。

発表は…100点中30点な残念な結果に…(自己評価とお世話になった先生の評価が一致!)
質疑応答は「どの程度まで位置合わせのズレが許されるのか」「ステレオカメラなら3次元復元する方法があるのでは?」と2つ。前者は「1ピクセル未満が理想。使用用途によって変化する」、後者は「ズーム後のカメラパラメータは未知なので不可」と回答。…後々考えれば、カメラパラメータが未知でもステレオカメラなら3次元復元出来るといえば出来るので、しまったな~と反省。

発表が上手くいかなかった要因は極度の緊張。元々私が緊張しやすいというのもあるのですが、自信を十分に持てる程に練習をしなかった事が原因だと思います。もし次の機会があれば、早めに発表スライドを完成させ、嫌になる程発表練習をし、万全の体勢で発表に臨めればと考えています。

以上、長くなりましたが発表報告でした。