月別アーカイブ: 2012年10月

インターンシップ! in Oulu

M1李です。僕は今、フィンランドのオウル大学に1ヶ月のインターンシップに来ています。
10月1日にこちらにきて、はや2週間が経ちました(本当に早い…)ので、簡単な中間報告をさせて頂きます。

 

初日、日本からオウルまで乗り換えを含めて15時間ほどかけて来ましたが、朝のフライトだったため、飛行機の中ではまったく寝れず、映画を5本くらい見てました(メリダと恐ろしの森、超おすすめです。

 

 

こう見ると結構遠い。

 

 

オウルへ向かう直行便は存在しないため、途中ヘルシンキ空港で乗り換えるのですが、ここでちょっとしたハプニングが…。

入国審査で前の方がすごく時間がかかり、僕の番が回ってきた頃には出発20分前!!慌ててダッシュでゲートまで向かい、出発ギリギリに到着するも、キャンセルになったよ。とあっさりと言われ愕然。しかも、指定された振り替え便のゲートは空港の真反対。

(もうこれ乗れんやろ…)と半ば諦めながらダッシュするも、今度は振り替え便の出発は一時間後だよ。と言われ、異国の地で一人ぜぇぜぇ言っている怪しい東洋人だけが出来上がりました。

 

その後無事飛行機は出発しオウルに到着したのですが、ここでもまたちょっとしたハプニングが…。
山本先生との待ち合わせ場所である、僕が泊まるマンションの最寄りのバス停を、案の定乗り過ごしてしまい、次のバス停まで先生の車で迎えにきてもらうことに…(何やってんだ

 

 

へとへとになりながら、初日は他の研究室からインターンに来ているNAIST生と一緒にご飯を食べ、就寝しました。


初日のご飯。ピザでかい!これで7€(700円くらい)でした。

 

 

 

波乱を感じさせる幕開けではありましたが、こちらでは楽しくインターンシップに取り組んでいます。

 

ということで、ここからは、こちらで実際に僕が取り組んでいる内容について報告させて頂きます。
僕は今、”高齢者に対する屋外でのレーザーポインタによる方向提示ナビゲーションシステム”の構築に携わっています。
このシステムを簡単に説明しますと、高齢者の方が普段屋外で持ち歩く、杖や手押し車に、レーザーポインタを搭載し、それを遠隔地にいるナビゲータが操作することで、道が分からなくなった高齢者の方に対して、ナビゲーションを行うというものです。
レーザーポインタの出力は、矢印の形をしているため、地面に直接レーザーによる矢印が描かれるという仕組みになっています。
地面に直接進むべき方向が示されるため、ユーザはナビゲーションを受けるために特別な機械を覗きこんだりする必要がなく、また、普段持ち歩く杖などにこれらのシステムが組み込まれているため、このシステムを利用するために何か新しいものを持ち歩く必要がないという利点があります。

 

現在、杖に搭載したシステムはあるのですが、僕はそれを手押し車に搭載するための開発に、携わっています。

といっても、実際にはより全体的な開発に携わらせて頂いています。
このシステムは、遠隔地にいるナビゲータがブラウザ上に表示された高齢者の位置や写真情報から、目的地への方向を支持し、そのデータがサーバーを介し、手押し車に搭載されたiPadへと伝わり、iPadから同じく手押し車に搭載されたarduinoを通じることで、レーザーポインタを動かし、高齢者の方を目的地まで誘導するというシステムになっています。僕はこれら全体の開発に携わっています。

 

1週目はこちらで取り組む課題について説明を受け、どのような手法で開発していけばよいかを調査し、主に開発に向けた準備を行なっていました。また、僕がお世話になっているこちらの研究室の教授である、Pulli先生と僕がNAISTで取り組んでいる研究についてミーティングをさせて頂くという、とても貴重な機会を頂きました。
2週目は、1週目の調査を踏まえ、まずはブラウザとiPadアプリ間の通信部分の開発に取り組んでいました。サーバーを新たに構築し、ウェブアプリを制作し、そのウェブアプリから指示された方角がサーバーを介してiPadへと届くような仕組みを作っていました。

 

今回取り組んでいる内容(サーバーサイドの実装やiOSアプリの開発、arduinoでの開発など)は、実は以前から勉強してみたいと思っていた内容だったので、新しく学ぶことが多く大変ではありますが、とても楽しく取り組んでいます。

 

 

そういえば、昨日と一昨日、オウルではオーロラが観測されたようです。
残念ながらその両日とも僕は見れてないのですが、日本に戻るまでの間に見れたらいいなあと思っています。

残り2週間しかありませんが、寒さに負けず(現在こちらは-2℃です)、英語にも負けず、実装力の無さにも負けず、がんばりたいと思います!:)

 

 

最後にこちらで撮った写真を少し。

 

 

オウル大学の学食。どれもとてもおいしいです。

 

 


町のいたるところにある白樺。すごい綺麗です。

VRSJ-SIG-MR参加報告(岡田)

M2の岡田です。
9/27(木)に学会発表を行いましたので報告させて頂きます。

学会の詳細は以下の通りです。
学会名:日本VR学会複合現実感研究会(VRSJ-SIG-MR)
URL:http://www.ime.cmc.osaka-u.ac.jp/CONFERENCE/SIGMR_/
開催日:2012年9月27-28日
会場:根室市総合文化会館(27日)、根室グランドホテル(28日)
共催:マルチメディア・仮想環境基礎研究会(MVE)、日本VR学会サイバースペースと仮想都市研究会(VRSJ-SIG-CS)
連催:ヒューマンインターフェース学会バーチャル・リアリティ・インタラクション専門研究委員会(HI-SIG-VR)

[9月27日]
学会1日目のセッションは以下の通り。
・アンビエント・ソーシャル・インタラクション
・マルチモーダルインターフェース
・招待講演
・ビジュアルトラッキング・コンピュータビジョン
・バーチャルリアリティ
私の発表はビジュアルトラッキング・コンピュータビジョンのセッションでした。

1日目の会場は根室市総合文化会館。
根室は奈良と比べ10℃近く気温が低く、体と心を震わせながら会場に向かいました。

この日の発表で印象に残った発表は、「TrakMarkのための仮想化現実モデルを用いた
ベンチマークスイートの開発とカメラトラッキング手法評価への適用」です。
これはカメラトラッキング手法の推定精度を評価するためのベンチマークに関する研究で、
発表では仮想空間における歩行モーションの再現法や推定精度の評価手法の説明が主でした。
このTrakMarkと呼ばれるプロジェクトが成功し、世界中の研究者の負担が軽減される事に期待です。

もう一つ印象に残った発表は、招待講演の
「~酪農郷を結び、人と人とを結ぶ道~酪農家集団が造り上げた“根室フットパス”」です。
日頃研究している内容とは大きく異なる発表でしたが、色々と興味深いお話を聞く事ができ、
とても楽しい時間を過ごしました。

タイトルにある“フットパス”とは、根室にある牧場の中を探索するツアーのようなもので、
根室フットパスは日本初のフットパスだそうです。この根室フットパスを実現するまでの様々な
活動・苦労について(牧場に部外者が入る事は法律で禁止されている事など)聞くことが出来ました。
もし根室に行く機会があれば、この根室フットパスを観光候補に入れてみてはいかがでしょうか?
URL:http://www.nemuro-footpath.com/

また講演の最後に、酪農の難しさについての説明がありました。乳牛1頭の飼育は数年単位の
スケジュールの元で行われており、急に「乳牛の数を減らせ!」「牛乳の収穫量を増やせ!」と
言われても困る、牛乳は蛇口を捻れば出る物ではない、と強調していたのが印象的でした。

この招待講演の次が、私の研究発表でした。 オナカイタイデス
発表時間は20分、質疑応答は5分。 ハッピョウジカンナガィ
題名は「カメラズームによる内部パラメータの変化を考慮した拡張現実感のためのカメラ位置・姿勢推定」。
内容を簡単に説明しますと、カメラのズーム機能を用いることで変化した内部パラメータ(焦点距離など)を、
連続フレーム間における自然特徴点の対応関係を用いて推定することで、ズーム対応のマーカベースARを実現する手法です。

発表の出来は…以前の学会発表に比べればマシになった(気がする)のですが、
緊張の余り、質疑応答における解答が少し見当違いになってしまいました…
20分という長い発表時間が終えたことに安心し、少し気が抜けてしまったからかもしれません…
もし次の機会があれば、最後まで気を引き締め、的確に質問に答えていきたいです。

姿勢がだらしない…シャキッとせいシャキッと!

[9月28日]
学会2日目のセッションは以下の通り。
・複合現実・拡張現実
・テレプレゼンス
・触覚・嗅覚

2日目の会場は、根室グランドホテル。

印象に残った発表は、「拡張現実感における擬似触覚を用いた引力提示に関する一検討」です。
これは、バーチャル世界とのインタラクションにおける力触覚に関する研究で、
物理デバイスを用いるのではなく、ユーザが想定する仮想物体の動作量と実際の動作量の間に生じる
ズレを利用することで擬似触覚を生みだすという内容でした。
(マウスの現実世界での移動と、PC画面上でのポインタの移動に置き換えると、想像しやすいかも)

わざとユーザの希望とは異なる動作を行うことで、よりリアルに感じさせる事が出来るというのは、
とても衝撃的でした。このような柔軟な発想が出来るようになりたいです。

少し余談ですが、2日目の学会終了後、学外の学生と一緒に、
根室名物のB級グルメ「エスカロップ」を食べに行きました。
エスカロップとは、バターライスの上にポークカツレツを乗せ、デミグラスソースをかけたものです。

このカツが柔らかく、バターライスが絶妙に合っていて本当に美味しかった!
このエスカロップに限らず、根室の食べ物は美味しいものばかりで…
研究頑張って良かったな~とシミジミと感じました。

色々と大変でしたが、普段会うことのない方々と話をしたり、
ちょっとした観光ができ、この学会に参加して良かったというのが正直な感想です。
現在のM1の方は、来年の参加を文句なしにオススメします!
(…来年からは島に行くと耳にしましたが気のせい)

以上、長くなりましたが学会報告でした。

情報処理学会関西支部 支部大会 参加報告(久保)

M2の久保です.

9月21日(金)に学会発表を行いましたので報告します.

 

学会の詳細については以下の通りです.

学会名:平成24年度 情報処理学会関西支部 支部大会

開催日:2012年9月21日(金)

会場:大阪大学中之島センター

支部会員の研究成果発表,ならびに情報処理関連活動の報告を通じた支部会員の交流の場を提供することを目的とした学会です.

 

会場は,大阪の中之島.

以前,「革新的デジタルメディア研究コア」シンポジウムを行った慶應大阪リバーサイドキャンパスの真向かいにある,と言えばそれに参加した人は分かると思います.

kubo1

 

募集されていたテーマとしては,

A:ものづくり基盤コンピューティング

B:ソフトウェアとアルゴリズム

C:社会知能

D:並列分散処理

E:ネットワークサービス

F:言語情報処理

G:メディア・インタラクション

と多くあり,自分は「G:メディア・インタラクション」で発表しました.

このテーマの発表数は募集されていたテーマの中で一番多く,一日このテーマのセッションを聴講していました.

 

印象に残った研究は,自分と同じセッションで発表された「迷いやすい人の特徴を考慮した屋内ナビゲーションシステムの開発」です.

理由としては,M1の木村君の研究テーマに近いものを感じたことと,自分も以前ナビゲーションシステムの研究を行なっていたからでしょう.

システムは,スマートフォンのカメラで屋内に設置されたQRコードを認識→目的地を選択→QRコードの位置から目的地までをAR表示された矢印で案内を行うといった概要です.

屋内にマーカを設置するところ等が以前の自分の研究に似ていたのですが,被験者実験を行って考察した結果などを発表されており,自分もそのようにしないといけなかったのだなぁと今更ながら反省させられました.

発表者の発言によると,“迷いやすい人でも利用しやすい=地図を覚える必要がない”を目指されているそうなので,その点が記憶の補助を行う木村君の研究との大きな違いでしょうか.

 

自分は,「広大なディスプレイ環境におけるウィンドウ操作支援」というタイトルで発表しました.

(発表した環境も広大なディスプレイ環境でした)

 

質疑応答の際にあまり適切に答えられなかったことが残念でした…

「広大なディスプレイ環境の利用ケース」について質問され,本研究室でどのように利用しているかについて説明しましたが,「ウィンドウを動かす機会が少ないのでは」と痛いところを突かれてしまいました.

今後はウィンドウを頻繁に動かすケースを具体的に考えると同時に,頻繁に動かせるような操作機能を実装していくことで対策したいです.

発表自体は良く出来ていたと浦西先生に評価していただけたのが救いです.

当日の朝6時まで発表練習を頑張った甲斐はあったようです.

 

全てのセッション終了後,関西支部名物と言われる懇親会に参加しました.

学生奨励賞の発表もその場で行われましたが,残念ながら自分は選ばれませんでした.

まだまだ精進が足りないということですね.

 

以上,学会報告でした.