ISMAR参加報告
It is the premier international conference on research into the science, technology, applications and uses of Mixed and Augmented Reality.
日時: 10/1-4 2013
場所: 南オーストラリア大学,オーストラリア
参加者: 250?
口頭発表: 26
ポスター発表:30
D2藤本が10/1~10/4/,オーストラリアのアデレードで行われたISMAR2013の参加報告をいたします.
また来ました.ISMAR.
今年は遅々とした研究進捗に発表原稿提出が間に合わず,あわや不参加と思われましたが(毎夜100晩ほど自分を責めました),デモで滑り込み参加できることになりました.
ありがとうございます.
というわけでISMARでございます.
共同研究をさせていただいている南オーストラリア大での開催ということで,出たくないわけがない.
それでは今回もトピックごとの紹介とさせていただきます.
——————————————————————————————————–
Industry day
今年は1日目にWorkshop等と併設して各企業がARを用いた商品や作業支援等への応用例を発表するIndustry dayという企画が設けられました.
曲がりなりにも,作業支援ARを研究テーマとする身としてこの会に出ないわけにはいきません.BOEING, metaio, NVIDIAといった名だたる企業が参加.発表された作業支援の種類に関して特に目新しいトピックはありませんでしたが,各企業がこのような内容を研究しており,このような発表の場を欲している,ということ自体がARの作業支援応用への展望の明るさを示しているように感じます.発表において私が最も気になったのはNVIDIAが今年SIGGRAPHで発表したLight-fieldを用いたHMD,”Near-Eye Light Field Display”
(http://www.youtube.com/watch?v=uwCwtBxZM7g).これはLight-fieldを用い,人間が日常の風景を見る際に,眼の水晶体が行っているようなピント調整を,レンズに行わせることで,ごく自然な立体視を実現したHMDといえます.
——————————————————————————————————–
Tracking session:
私が最も気になったのが柔軟物体である人間の肝臓をトラッキング対象とした以下の論文.
Image-guided Simulation of Heterogeneous Tissue Deformation for Augmented Reality During Hepatic Surgery, Nazim Haouchine, Jeremie Dequidt, Igor Peterlik, Erwan Kerrien, Marie-Odile Berger, Stephane Cotin
外科医が大きな切開を行わず,内視鏡的なカメラのみを用いて肝臓の手術を行う場合,内視鏡でとれる2次元の画像のみを手掛かりとしながら手術を施行する必要があります.この手の手術は非常に難度が高くなってしまうため,拡張現実感を用いて肝臓の3次元モデルを重畳表示することで,手術支援を行おうというのがこの研究.肝臓の生体力学モデルを用い,肝臓の動きに制約を設けることで,手術中にうにょうにょ動く肝臓のトラッキングが可能となっているそうです.ビデオ必見!
(http://dequidt.plil.net/projects.html)
————————————————————————————————————–
自分の発表について
今回私がデモとして持って行ったシステムはプロジェクタとカメラを用い,手で形状変化が行えるシート状の物体に対し,あたかもその表面に張りついているかのようなテクスチャ投影が行えるという(はずの)ものです.
ここからは自身の発表について反省をしなければなりません.自身の発表の失敗についてつらつら書くのは,下手すれば露悪趣味的もしくは自虐的なものになってしまいますが,この記事を読まれている方々が同じ失敗を犯さないための一助となれば幸いです.
今回は海外でのデモ発表ということで起こりうるさまざまなアクシデントを想定していたつもりです.またデモ会場を取り仕切る方にお願いし,前日に会場に入りし,自身のデモが動作することを確認していました.しかしながら当日になって問題が二つ発生しました.
問題1
当日,デモ会場に多くの人が入り,初めて気づいたことですが,デモ近くを人が通ると,床がきしみ,三脚に固定されたプロジェクタやカメラが揺れることが分かりました.今回発表したシステムはグレーコードパタンを対象物体にプロジェクタで投影し,それをカメラで観測して対応関係を取得しているため,グレーコードパタン投影中に床が揺れるとそれらの対応関係がうまく取れません.前日に気づいていれば,場所を揺れの少ないステージ上等に変更してもらうなど,回避できたかもしれません.しかしながらこの問題は人があまり通っていない状態で投影を行えば,回避できるため,なんとかデモ前半では動作するデモを来場者に見せることができていました.
問題2
しかしながら,途中で新たな問題が発生しました.デモ会場一部で電源が全て落ちるという事態が発生.当然その間はプロジェクタ等電源必須のその他のデモ発表者もどうすることもできませんでした.30-40分ほどして,電源復旧したのですが,ここで致命的な問題が発生.何度やっても,キャリブレーションを行っても3次元形状計測がうまくいかなくなってしましました.撮れた画像を確認したところ,グレーコードパタンの遷移に際し,画像が徐々に暗くなっているのが確認できました.これについては現在原因を究明中です...
結局何が問題なのか
結局のところ,もっと「安定して動作するシステムを作る」ということが必要でした.加藤先生にご指摘いただいたように,予期せぬ問題が起こった際にその他の部分が完璧でないため,問題をうまく切り分けることができなかったことが問題だと思います.研究室内ではなんとかうまく動作する,程度のクオリティでは外でデモが行えないことを再度認識しました…
———————————————————————————————————————
Award
今年のベストペーパー賞は広角,望遠二種類のレンズのカメラと慣性センサ,GPSを組み合わせてAR単眼鏡を実現した”Augmented Reality Binoculars”
by Taragay Oskiper, Mikhail Sizintsev, Vlad Branzoi, Supun Samarasekera, Rakesh Kumarが受賞.
また,奈良先端大横矢研の河合先生らがベストポスター賞の Honorable mentionを受賞されました.
おめでとうございます!
“Diminished Reality Considering Background Structures”
by Norihiko Kawai, Tomokazu Sato, Naokazu Yokoya
————————————————————————————————————————
オーストラリアの食事について
想像に違わずダイナミックです.連れて行っていただいたステーキ屋は肉の量が350gから上はなんと800g!加藤先生は800gのステーキを召し上がられていました!お元気です.
加藤先生,斎藤先生(慶応大学)は素晴らしい先生方で,ステーキをご馳走いただきました.
素晴らしい加藤先生,斎藤先生,本当にありがとうございます!
またオーストラリアはワインが美味しく,皆が美味い美味い言いながら飲んでいるのをずっと見ていたため,あまり今まで好きではなかった赤ワインを美味しいと思えるようになって帰ってきました.これが今回の一番の収穫です.
まとめ
結局のところISMARは非常に最高な会議です.来年は9月にドイツ開催で3月に原稿締切りです.とある先生が「最近日本人の口頭発表が年に1,2件しかない.来年はみんなばんばん通す気持ちでがんばりましょう!」と仰っていましたが,加藤研からも10本くらい通す気持ちでがんばりましょう!(夢)