月別アーカイブ: 2016年10月

オウル大学でのインターンシップ -最終報告-

こんにちは,M1の加藤涼子です.
私はフィンランドのオウル大学でのインターンシップを終えて,先週の金曜日に帰国しました.

今回はフィンランドでのインターンシップの最終レポートをまとめます.

私はPetri Pulli教授の研究グループに所属しており,技術がどのように孤立した若者をサポートできるのか,というテーマについて文献調査を行っていました.最終的にプレゼンテーション資料を作り,Eevaさんへ提出しました.今回の留学を通して,研究について理解を深めるとともに,英語のコミュニケーションスキルを向上させることができたと感じています.

前回は研究やオウル市内での生活を中心に記事を書いたので,今回はフィンランドの文化についてレポートをします.

デザイン
MarimekkoやIittalaに代表されるように,フィンランドではおしゃれで使いやすい雑貨や食器がよく見られます.私は芸術や人間工学に興味があることもあり,週末にヘルシンキにある国立美術館Ateneum,国立現代美術館Kiasma,Design Museumへ見学に行ってきました.
ヘルシンキに到着して最初に驚いたことは,美術館の展示物の写真を自由に撮影できることでした.もちろん,写真を撮ったからといって,作者の意図を完全に理解することはできないのですが,美術館から帰った後に説明文や作品を思い出せるというのは非常に素敵なことだと思いました.
また,ヘルシンキ建築といえばヘルシンキ中央駅.正面に走るトラムが素敵でした.

この記事では,Design Museumの内容を中心に紹介します.

フィンランドといえば著名な建築家でありデザイナーのアルヴァ・アールト(Alvar Aalto)を想起しますが,彼のデザインした家具もDesign Museumに展示されていました.

サナトリウム用にデザインされた家具

サナトリウム用にデザインされた家具

これは,サナトリウム(療養所)のために設計された家具です.時間がなく,解説をじっくり読むことはしませんでしたが,清潔ながらも病室特有の鋭利な冷たさを感じにくいデザインだなと感じました.

一般的に,美術館というと,展示物を目で見て楽しむ場所というイメージが強いと思いますが,デザインミュージアムには触って体験できるようなコーナーも複数用意されてました.

一例として,電話機です.こちらの引き出しの中には,かつて日本でもよく使われていた黒電話があります.(私の実家にもかつてありました)

黒電話

黒電話

改めて受話器を取ってみると,ずっしりとした重みがあって懐かしさを感じました.

さて,電話機の形状はどのように変遷していったのでしょうか.

様々な電話機

様々な電話機

この写真から分かるように,みなさんもよくご自宅で使われているようなコードレスタイプやモバイルフォンなど,時代が新しくなるにつれて私たちがよく目にする電話機へ変遷していっています.

デザインミュージアムは,芸術的な面だけでなく,人間工学的な設計によって物がどのように使いやすくなったのかという部分を見ることができ,非常に楽しかったです.

今回のインターンシップを通して,研究面だけではなく,フィンランドの文化への理解を深めることができたように思います.

最後に,今回のインターンシップにあたって,様々な面でご支援をしてくださったオウル大学のPetri Pulli教授,NAISTの加藤教授をはじめとするインタラクティブメディア設計学研究室の先生方に厚く御礼を申し上げます.

以上,M1の加藤涼子でした.

飛行機の窓から眺める夕景

飛行機の窓から眺める夕景

オウル大学でのインターンシップ -中間報告-

こんにちは,M1の加藤涼子です.
私はいま,フィンランドのオウル大学にインターンシップ生として留学しています.

フィンランドに到着したのは9月26日,フィンランドに到着してから14日目のお昼を迎えました.
こちらに到着してから本当にあっという間に時間が過ぎていったように感じます.

今回はの記事では,オウル大学での研究の様子や,オウルでの生活の様子について書こうと思います.

研究の様子
私がインターンシップ生として在籍させていただいているのは,Department of Information Processing Science の Petri Pulli教授の研究室です.私がオウル大学で関わらせていただいている研究は,「孤立した若者を技術がどのように活動的にするか」というテーマです.
このテーマ名が指す技術とは,近年な分野で応用されているゲーミフィケーションのことを指します.ゲーミフィケーションとは,課題の解決へ順位やポイント,バッジなどのゲーム要素を利用する活動全般のことです.例としては,既存のサービスへポイント制,レベルシステムなどを取り入れることで,ユーザが能動的にシステムを継続利用するように促す事例が挙げられます.
私は現在,このテーマについて,孤立している若者にどんな特徴があるのか,またゲーミフィケーションを用いた活動でどんな事例があるのか,論文を読んだりして調査を行っています.
事例を調べていると,ユーザーに自発的な行動を促す際に様々な工夫がされており,大変興味深い分野であると感じました.
次は,オウル市内や大学での生活について書きます.
英語版のブログ記事ではもう少し短めの記事を書いていますが,日本からフィンランドへ行く人のお役に立てればと思い,こちらの日本語版の記事では英語版の記事よりも詳しく書いています.

大学での生活
(1)校舎や学内の設備
オウル大学の敷地はものすごく広く,敷地内にオウル大学の植物園や教会が建設されています.とくに,植物園はオウル市内の観光名所にもなっているようなので,私も近いうちに訪れたいと考えています.
自分が所属させていただいているPulli教授の研究室は,青く塗られた壁が目印のK棟にあり,私がお借りしているデスクはとても日当たりが良いです.同じ棟の中には学生が自由に使える自習室があり,なんと横になれるようなソファーが並んでいるブースもあります.

キャンパス内には樹がたくさん植えられており,私が到着した週は紅葉を楽しむことができました.

紅葉

紅葉

(2)学生同士の交流
留学中に学生同士の交流はそんなにないと思っていたのですが,NAISTからのインターンシップ生以外にも日本の大学からの交換留学生が在籍しているため,日本人のオウル大生と知り合うことができました.
毎週水曜日の放課後に開催されるCafe Lingaには,日本人の留学生や日本語を学びたいオウル大の学生が集まります.NAISTでいえば,留学生向けの交流イベントのようなものでしょうか.Cafe Lingaで友達になった人たちや,先に来ていた河中くんに紹介してもらった日本人大学生の人たちと,放課後にオーロラを見に行ったりと楽しいことがたくさんありました.

(3)会話
フィンランドには英語を話せる人がとても多いので,大学の中だけでなくお店に買い物に行ったときにも英語でコミュニケーションを取ることができます.
こちらで覚えたフィンランド語は,「Kiitos(ありがとう)」,「Moi(くだけた言い方のさようなら)」,「Yliopisto(大学)」,「hyvaa(おいしい)」くらいですが,フィンランドの人たちは英語を話せる人がとても多いので,フィンランド語が分からなくてとても困ったことは少ないです.強いて言えば,週末の観光に向けてWebで情報収集をしているときに,フィンランド語と英語の切り替えがどこからできるのか分からず困った程度です.

オウルでの生活
次は,フィンランドでの生活についてです.

(1)気候や観光
まずこちらに到着して驚いたのが,日本の気候との違いです.私がこちらに到着したのは9月26日,日本は気温が20℃前後あって暖かかい日だったのですが,オウルでは10℃前後とかなり寒かったのを覚えています.また,お化粧をする女性にとって冬の乾燥はお肌の大敵ですが(もちろんお化粧をしない男性にとっても),季節が秋とはいえオウルの空気は日本よりも乾燥しており,かなりお肌が乾燥しやすいです.毎朝お化粧をする度にかさつくお肌と格闘しているので,日本にいる頃よりもお化粧が上達したかもしれません!

フィンランドは,日本と同じように四季がはっきりしています.私は,宿泊しているホテルからオウル大学までバスで通っているのですが,先週はホテルからバス停まで歩く10分間の間に綺麗な紅葉を楽しむことができました.
オウル市内には幹が白く,葉が黄色く紅葉する白樺のような木が多く生えています.私のお気に入りは,毎朝通るSnellmann公園から眺める紅葉です.公園の大きな木にはときどきリスがいますが,シャッターチャンスを逃すばかりです.滞在中に一度は写真を撮りたいものです.

また,オウル市内では天候と太陽の活動の条件が合えば,オーロラを見ることができます.
私は幸運にも,10月4日の夜にオウル大学周辺の湖の岸辺からオーロラを見ることができました.
こちらの写真は,同じ時期にNAISTからオウル大学へインターンシップでいらしている,光メディアインタフェース研究室 M2の櫛田さんが撮影されたものです.

オーロラ

オーロラ

夜空に広がる光のカーテンと輝く星.「綺麗」と言わずには居られない風景で,「綺麗」以外の言葉を奪われてしまったかのようにずっと綺麗と言っていたような気がします.機会があれば自分のカメラで写真を撮りたいです.

週末はNallikariビーチや,市内の教会に写真を撮りに行ったりと楽しく過ごしています.

Oulun tuomiokirkko

Oulun tuomiokirkko

Nallikari beach

Nallikari beach

Kauppuri 5のハンバーガー

Kauppuri 5のハンバーガー

(2)食事やお酒
食事
基本的にパン食ですが,Oulu市内にSushi Barがあるのでお米も食べることができます.City Centerのスーパーマーケット,K Marketのお総菜コーナーにもお寿司がありました.私が滞在しているホテルには電子レンジと冷蔵庫,コーヒーメーカーしかないため,普段ホテルで食事を取る際には電子レンジで調理できるお総菜を食べています.お総菜はKioski(日本のコンビニのようなもの)やスーパーマーケットで買うことができますが,オーブンでの調理を前提にしている商品も少なくないのでご注意.

外食をする場合にですが,日本と比べるとフィンランドは少し物価が高いように思います.日本にもチェーンがあるマクドナルドでハンバーガーセットを頼むとだいたい7.8 EURほど,日本でいえばレートによりますが800円くらいで少し割高です.

お酒
フィンランドで有名なお酒と言えばウォッカ,フィンランディアが有名なようです.個人的に飲んでみて驚いたのは,サルミアッキウォッカです.
気になるお値段ですが,フィンランドはお酒にかかる税金が高いようで,バーでショートカクテルを一杯頼むとだいたい7 EUR,日本円でだいたい800円くらいかかります.スーパーで売っているビールもロング缶で2.99 EURからなので,少し割高だと,オウル大に留学している他大の留学生さんから聞きました.
現地の方々はBarに飲みに行く前に自宅で一次会をしてからBarへ飲みに行くことが多いそうですよ.

以上,研究以外の記事が長くなってしまいましたが,オウル大学へのインターンシップの中間報告でした.
末筆ではございますが,改めまして今回のインターンシップに際してご支援・協力をしてくださったOulu大学のPetri Pulli教授,NAISTのインタラクティブメディア設計学研究室の加藤教授をはじめとする先生方に厚く御礼申し上げます.

それでは,記事を読んでくださった皆様,Kiitos!(ありがとうございました)