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プログラム概要

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個性的な2国立大が連携

「メディア情報学とスポーツ科学の融合による健康社会実現の国際研究ネットワーク」は、奈良先端科学技術大学院大学と鹿屋体育大学が連携して進めている研究プロジェクトです。奈良先端大は情報科学やロボット分野に強みを持ち、鹿屋体育大学はスポーツ科学の拠点です。こんな個性の強い二つの国立大学が手を組んだユニークな体制で、健康長寿を実現するための研究を手がけています。

このプロジェクトは、日本学術振興会の事業「頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラム」の一つとして平成28年(2016年)度に採択されました。ドイツ・ミュンヘン工科大、米ジョンズ・ホプキンス大学など世界トップクラスの5大学とも連携し、日本から若手研究者を長期海外派遣し、また海外からも研究者を招へいして人的交流を進め、国際共同ネットワークの核となる優れた研究者育成も目指しています。

奈良先端科学技術大学院大学

鹿屋体育大学

高齢者の運動管理を科学で進化させる

2025年には、日本で全人口に占める65歳以上の割合は30%になると予想されています。平均寿命は男性80.75歳、女性86.99歳(2015年)ですが、日常生活に制限のない「健康寿命」は男性71.19歳、女性74.21歳(2013年)で、10年前後の開きがあります。これを少しでも小さくし、健康寿命を延ばすのが国を挙げての目標です。高齢化が進む先進国で共通の課題になっています。

健康長寿の実現には、個人個人に適した運動を無理なく飽きずに続けてもらうことが不可欠です。このプロジェクトでは、これまでアスレチックトレーナーや医師の経験を中心に進められてきた健康運動のマネジメントを、科学的な手法で体系化することを目指しています。

具体的には、1. 理学療法士やトレーナーの指導ノウハウを行動計測手法を使ってデータベース化、2. 正しい運動を続ける意欲を拡張現実感で向上させる、3. 医用画像を使ってトレーニング効果を可視化する、などの技術の開発を進めます。これらにより家族とともに長年住み慣れた場所で、充実した健康指導を誰でも受けられるようになります。

培ってきたノウハウが強み

奈良先端大では、これまでもカメラで撮影して得た実世界の情報とコンピューターグラフィクス(CG)で描かれる仮想世界の情報を融合し、ディスプレイで利用者にわかりやすく提示する情報提示手法を開発してきました。ロボット技術を応用し、高齢者の運動を補助するパワーアシスト装置で、特定の筋肉のリハビリテーションができる手法も研究しています。CTなどの医用画像から骨や筋肉の情報をくわしく引き出す技術も研究開発しています。

鹿屋体育大学は、老後に備えて筋肉を蓄える貯筋運動プロジェクトを実践。高齢者を対象に、そのトレーニング効果を体力医科学の手法で実証してきました。歩行や走行など動作をする時に地面にかかる力を測る「床反力計」を長さ50m敷き詰めた陸上トラックや、水中でも使えるモーションキャプチャなど、ここにしかない計測システムを数多く持っています。

両大学の連携で、情報学・ロボティクスとスポーツ科学の融合が可能になり、これまでにない健康運動マネジメントシステムを構築できると考えています。