こんばんは,D3 の欅です.現在マイクロソフト・リサーチアジア (MSRA) でインターンシップに参加しています.三ヶ月間のインターンシップ期間のうち一ヶ月が過ぎようとしている頃です.
会社に関して,何をどこまで書いてもよいのか分からないので,今回はとりあえず敢えてインターン先での取り組みには触れずに,北京に来て異文化交流を行ったことで気づいたことについて報告しようと思います.
ちなみに,このブログは誰宛に記事を書いているのかという議論がたまに話題になっているのですが,研究室の半数以上の学生が留学生である加藤研の学生には是非読んでほしいなと思っています.あと,MSRA の雰囲気を知りたいということであれば MSRA University Relations のブログを読むのが一番よいと思います.僕がここで感じたことのほとんどはこのブログに書かれているので,今回の記事ではそれ以外について書いていきたいと思っています.
戸惑い
研究室の助教の武富先生を含めて,僕の身近なところには MSRA インターン経験者は結構多かったです.多くの人が口をそろえて言うのは北京は街中で英語が通じる人はいないよ,ということ.それは想像していた以上でした.若い人の中には英語を話せる人もいると聞いたので,スーパーマーケットで英語話せそうな若い店員を探したこともあるのですが,北京の生活に慣れてそうな西洋人見つけて質問する方がずっと早いことに気づきます.
話は逸れましたが,先に結論から言うと,MSRA の中でも英語がかなり苦手な人が意外と多いことにかなり驚きました.
僕ら日本人は「日本人は英語ができない」という少し卑屈な先入観に縛られている人が多いのではないでしょうか.少なくとも僕はそうです.これは下手すると,僕らは英語が下手だから英語を使わなくても仕方がないよね,けどあなたたちは英語得意なんだから英語を話して当然だよね,と思いかねない危険な考え方だと今の僕は感じています.
前者に関して,普段から僕らは悪気なく行っていることだと思うし,ある程度は仕方ないことだとも思います.できないことをしなさいというのは無茶です.しかし,僕は中国人たちに誘われて一緒に昼食を食べてみて,自分の理解できない言語でただひたすら会話を聞かされることがこれほどまでに不愉快だと気づいて,今までの自分の行動が振り返ってみて心底後悔しました.そして,そのときの僕は正直なところ,英語ではなく中国語使うなら食事に誘ってくれないほうがずっと気楽なのにと思っていました.
それでも何だかんだで他のインターン生とのコミュニケーションは発生するし,少しずつ他の人たちのことを知っていきます.その中で,たまに,僕のたどたどしい英語と同等か,もしくはそれよりも更にたどたどしい英語を使う学生がいることに気づきます.大学名だけ聞くと外国人でも知っているほどの名門の大学出身者であろうともです.彼らの存在を知ったことで,あのときの昼食は僕のことを放置して英語を使わなかったのではなく (僕に話しかけるときは当然ながらみんな英語を使ってくれてはいたので),英語を使うことで他の誰かを放置することになったから中国語だったのだなとようやく思い至りました.
この一連の出来事から僕は「自分は英語を話せないと決めつけることで自分への甘えにしてはいけないし,他人を責める理由にしてもいけない」ということを痛感しました.これはきっと国民の多数が英語を話せるような国へ留学した場合には気づけなかったことなんだろうなと思うので,とても勉強になりました.
中国人に対するイメージは?
日本にいる日本人からした中国人へのイメージはどのようなものでしょうか.必ずしもよいとは限りません.それに対して,もし MSRA の研究者やインターンシップ経験者に中国人はどんな人たちですか?って質問すると,多くの場合,親切 (優しい) ですと答えるのではないでしょうか.僕もたくさんの中国人 (もちろん中国人だけではなくて色んな国の方々にお世話になっていますが) に助けてもらったので,彼らはとても親切ですと答えます.ただ,根本的に文化が異なるわけですから,それら全てをひっくるめて親切だとか親切ではないとか一言で片付けることは不可能です.中国人は日本人の持たない優しさを多く持っていますし,日本人は中国人の持たない優しさを多く持っていると思います.これは何も中国人と日本人に限った話ではなく,国民性ごとに他人への思いやり方法は違っているのではないかと思います.重要なのは異文化から学べることは学びつつも,異なるからといって否定しないことだと思います.北京に来てからこれはちょっと...と思う文化もちらほら目につきはするものの,中国人が中国で中国様式で生活しているのを外国人が非難する権利はないよなぁと思うようになりました.
完全に余談ですが,もし中国人のガールフレンドを作る気なら,念の為にその前に一度食事に行くことをおすすめします.あくまでも念の為にですが.
出会いと別れ
皆さん「一期一会」という言葉はご存知だと思います.直訳すると「一生のうちに一度しかないこと」で,茶道においては「二度と同じお茶会はないのだから最大限のもてなしをしましょう」という意味で使われていたようです.いろんな解釈があると思いますが,僕は「もう二度と会えないかもしれないのだから,悔いのない出会い (と別れ) をしよう」という解釈が好きです.
再び話は MSRA に戻りますと,MSRA は国内外からたくさんのインターン生を受け入れています.今は特に夏休みということで一番人が多い時期らしいです.多くの人と出会うということは多くの人と別れるということと表裏一体なわけですが,一般的にインターンの期間は三ヶ月である場合が多いので,そのスパンがかなり早いです.インターンシップ歴わずか四週間の僕でも既に数人の人達との別れを経験しました.中には今後もお会いできそうな方もいれば,多分もう二度と会えないだろう人もいます.だとしても,僕の中ではきちんとお別れが済ませたのであれば少なくとも悔いはないと言えるのかもしれません.
というのも,顔見知りになって少し話すようになったインターンシップ生がいたのですが,どうやら先日知らないうちにチェックアウトをしたようです.名前も連絡先もそのうち聞けばよいだろうと思っていた矢先だったので,大変ショックでした.思い返すと近いうちにいなくなると言っていたので,その人なりの合図だったのかもしれません...
大学院生にとって似たシチュエーションといえば.国内外の学会だと思います.僕自身,これまで学会でたくさんの素敵な友だちと出会うことができました.コネクションがどうとかネットワークがどうとか野暮なことを考える必要はありませんが,面白いと思う人に出会えたときはあまり躊躇わずにどんどん知り合いになるのがよいと思います.もう一度会える保証はどこにもないわけですから.
さて,長くなりましたが,次回は研究などについて,話せる範囲でお話できればと思っております.